ーメンタルヘルスー

ストレス対策・ストレスマネジメント 1

受験を控えたこの時期、緊張し、不安を感じている人は少なくないでしょう。
食欲がなくなったり、寝付きが悪い人もいるかもしれません。
試験や試合、人前での発表などの緊張を強いられる場面で、
不安を感じたり、「あがる」のは、よくある体験です。
誰でも試験では良い点を取りたいし、試合には勝ちたいのです。

そのため、「失敗したらどうしよう」と自意識が強くなり、余分な緊張が入り、
いつも通りの判断や行動がしにくくなります。
この状態を「あがる」と言います。


NHKの「ようこそ先輩」という番組の中で、メジャーリーグの長谷川選手が母校の小学生と
以下のような実験をしました。
★ 怒った顔で走るの
★ にこにこ顔で走る
どちらが良い記録が出たでしょう?

あなたはどちらが速いと思いますか? 


ニコニコ顔の方が、怒った表情の時より4秒ほど速かったのです。

怒ると余分な緊張で身体が固くなり真価を出しにくい…
上手に緊張を解き、リラックスするのが実力発揮への近道。

試験や試合の折りには、呼吸法、漸進性弛緩法、自律訓練法などの
ストレスマネージメント技法を上手に取り入れ、自分の実力を存分に発揮して下さい。
誌上セミナーには、ストレスマネジメント技法1~6まで
それぞれの技法の簡単な説明と施行法を記しました。

眠る前、休み時間など、毎日練習し、本番に備えましょう。

ご健闘を祈ります。

ストレスマネジメント2 試験・試合・発表の前に、受験前上がり防止のために

イメージ呼吸法

息は 脳に深くつながっていく機能で、新鮮な酸素をしっかりと取り込むことで
脳の働きを円滑にしてくれるだけでなく、
落ち着きとリラックス感をもたらしてくれます。
正しい呼吸法とともに、きれいなイメージを持つ練習をしましょう

● リラックスしたい時は腹式呼吸がお薦めです。
●大きく、自然に、お腹をふくらませるように息を吸い、軽く止め、その後ゆっくり長く吐きます。
吐く息とともに、イライラや疲れが身体の外にでていく感じをイメージしましょう。
吸う時には、きれいな空気がお腹一杯流れ込み、身体の隅々まで満たされる感じをイメージして下さい。
自分のペースで、ゆっくりと…。吐く息とともに、身体の力が抜けていく感じを味わって下さい。

ストレスマネジメント3 試験や試合や発表の前に

簡易漸進性弛緩法
生理学者ジェイコブソンが開発したリラックス法でプロのスポーツ選手、
試験前の緊張をほぐすためにも使用可能です。
手をギュッと握り、そこから徐々に力を抜いていく方法と
以下のように段階を踏んで丁寧にやっていく方法があります。
とても気持ちが良いので試しにやってみてください

● 両手首をまげます。
  両足首をまげます。ほかはリラックスです。
両手首に力を入れたまま、両足首の力を抜きます。
両手首の力も抜きます。

● 両手首をまげます。両足首もまげます。つぎに、肩を開いて背中にも力を入れます。
両手、両足は力をいれたまま、肩・背中の力を抜きます。
両手首に力を入れたまま、両足首の力を抜きます。
両手首の力も抜きます。

●両手首をまげます。両足首もまげます。肩・背中にも力を入れます。腰・お尻に力をいれます。
両手、両足、肩背中は力をいれたまま、腰・お尻の力を抜きます。
背中・肩の力を抜きます。
  両足首の力を抜きます。
  両手首の力も抜きます。

●両手首をまげます。両足首もまげます。
 肩・背中にも力を入れます。
 腰・お尻に力をいれます。
 最後に、顔に力を入れます。
 奥歯をかみしめて目をぎゅっとつぶります。
 これで、身体全部に力が入っています。
両手、両足、肩背中、腰お尻は力をいれたまま、顔の力を抜きます。
両手首、両足首、背中・肩に力を入れたまま、腰・お尻の力を抜きます。
背中・肩の力を抜きます。
 両足首の力を抜きます。
 両手首の力も抜きます。

●全部の力が抜けました。
 ここからもっと力が抜けていきます。
 まだ、足に力が入って  いたなー、とか、身体のすみずみまで気持ちを向けることで、
 さらに、力が抜けていきます。それを、じっくり、味わいましょう。
 この後、すぐに仕事や活動をしないといけないときは、必ず、「終了覚醒動作」を行いましょう。

ストレスマネジメント4 試験・試合や発表のまえに、受験前上がり防止対策

肩のリラクセーション:臨床動作法
東洋の禅や西洋の漸進性弛緩法などを統合したわが国オリジナルな技法
九州大学名誉教授の 成瀬悟策先生が創始され、
精神発達遅滞や身体麻痺を抱える方たちのリハビリとして
使われたが、今では、心と身体の調子を整える技法のひとつとして
プロのスポーツ選手のトレーニングにも適用されています。

 

● 真っ直ぐな姿勢をします。
肩を小さな力で、大きく高く上げていきます。
首や肘や足に余分な力が入っていないか点検します。
もっと高くあがるかなとメッセージを送ってみて下さい。
そしてストン(ゆっくりと)力を抜いていきます。
まだ真っ直ぐな姿勢です。
一仕事終えたような感じです。
まだ、肩に余韻が残っているかもしれません。
ふっと肩に力が入っていた自分に気づくことができるかもしれません。
その後、背もたれにもたれ、休息の姿勢です。

ストレスマネジメント5 試験・試合や発表の前に、上がり防止対策

自律訓練法

シュルツが開発した自己催眠法で究極のリラックス法とされる技法。
病院で、不安神経症や恐怖症、心身症の方の
リラックス感を深めるために、しばしば使われる技法です

● 三三九度(一日3度、1度につき3回で、1回は1~2分以内)。
● 1回の終わりには必ず「終了覚醒動作」を行う。
0.安静感  「気持ちが落ち着いています」
1.重感   「右腕が重たい」「左腕が重たい」「両腕が重たい」
        「右脚が重たい」「左脚が重たい」「両腕・両脚が重たい」
2.温感  「右腕が温かい」「左腕が温かい」「両腕が温かい」
 「右脚が温かい」「左脚が温かい」「両腕・両脚が温かい」
3.心臓調整 「心臓が静かに規則正しくうっている」

一つの公式をマスターしてから次の公式を加える。
そして間に「気持ちが落ち着いている」という標準公式を加える。

ストレスマネジメント6 試験・試合や発表の前に 上がり防止対策

終了覚醒動作

リラックスした状態では 脳波もゆったりし、変性意識状態にあるとされています。
そのまま眠ってしまうのならかまいませんが、
また勉強したり、おきて作業をしなければならないときは
以下の終了覚醒動座を行ってください


リラックスした状態から、気持ちをはっきりさせるために、
・ 両手をグーパーグーパーします。
・ 次に、肘をまげて伸ばして、脚も伸ばせたら伸ばしましょう。
・ 両肘を前に突き出すか、高く上げて、はっきりと目を開けましょう」

ストレスマネジメント技法 3 臨床動作法

肩のリラクセーション:臨床動作法
東洋の禅や西洋の漸進性弛緩法などを統合したわが国オリジナルな技法
九州大学名誉教授の 成瀬悟策先生が創始され、
精神発達遅滞や身体麻痺を抱える方たちのリハビリとして
使われたが、今では、心と身体の調子を整える技法のひとつとして
プロのスポーツ選手のトレーニングにも適用されています。

 

● 真っ直ぐな姿勢をします。
肩を小さな力で、大きく高く上げていきます。
首や肘や足に余分な力が入っていないか点検します。
もっと高くあがるかなとメッセージを送ってみて下さい。
そしてストン(ゆっくりと)力を抜いていきます。
まだ真っ直ぐな姿勢です。
一仕事終えたような感じです。
まだ、肩に余韻が残っているかもしれません。
ふっと肩に力が入っていた自分に気づくことができるかもしれません。
その後、背もたれにもたれ、休息の姿勢です。

タイプA行動パターン

 心臓を養う冠状動脈はストレスの影響を受けやすいとされています。
アメリカのFriedmanらは虚血性心疾患患者に共通する性格特性を見出し、
タイプA行動パターン(以下タイプAと略す)と名づけました。
その特性は以下の通りです。

タイプA行動パターン
1.目標達成欲求が非常に強く、しかも決して満足しない
2.競争心・攻撃性がたいへん強い
3.常に周囲から評価されたい。出世欲も強い
4.常に多くの仕事にのめり込む。その結果、いつも締切りに追われている
5.身体的・精神的活動の速度を常に速めようとする(早口、早足、早食いなど)
 結局タイプAは、一つの仕事をクリアしても満足せず、もっともっと仕事をこなそうと頑張るため、常に不全感に苦しめられ、心身の疲労やストレスを蓄積させやすいタイプと言われています。また周囲の人にも自分と同じ高度な目標達成を要求するため、ストレスを与え、周囲のQOL(Quality of life 生活の質)やAOL(Amenity of life 生活の快適性)を損なう可能性も指摘されています。 

タイプB行動パターン

 タイプAと比べ、『種々の欲求・野心・時間に対する切迫感・競争心・締切のある仕事への、のめり込み傾向が少ない人々』をタイプBと分類しました。
このタイプはストレスや心身の疲れをため込みにくいとされています。
その性格・行動特性は次の通りです。

1 穏やかで滅多に怒らない
2 人を信用する
3 ゆっくり歩く
4 ゆっくり食事を楽しむ
5 語調がゆったりしている
6 丁寧な仕事
7 能力以上に仕事を抱え込まない
8 無理をしない
9 家族・友人、趣味などのプライベートを大事にする
10 他者からの評価へのこだわりは強くない


このタイプはタイプAに比べ、虚血性心疾患にかかる割合が1/2と言われています

タイプC行動パターン

タイプC(cancer)行動パターン(癌に罹患しやすい人)
 ThomasやGearの研究によると、ガンを発症した人に多く見られる特徴として、
幼少期の親との親密な関係の欠如(基本的信頼感の欠損)、
内部感情(特に怒り)の抑制が指摘されています。

Themoshockは,がんに罹患しやすい人に共通する特徴を挙げ、タイプC行動パターンと名付けました。

1 負の感情(特に怒り)を抑圧しやすく、自己犠牲的、過剰適応的に振る舞う
2 対人関係に傷つきやすく、孤独に逃げ込み易い
3 悲しみや不安などの深い感情を無理矢理抑え込もうとする
4 不平や不満を言わず、周囲に自分を合わせる(協力的で控えめ)
5 外的な権威に従順
6 いつも抑鬱的で、幸福感が乏しく、社会でも孤立しがち

 

 他、各種Q&A及びコラムは、ブログ「こころの健康相談室」に記載しております。また、メンタルヘルス、音楽療法関連事項に関しましても「メンタルヘルスケア」に記載しております。

どうぞご覧ください。

こころとからだの質問票
checksheet.pdf
PDFファイル 315.2 KB